ぼくが(絵本用の文章です)
いぬがいました。
くろくてしろい、いぬ。
なまえは、コト、といいます。
ぼくはコトのことが、だいすきです。
まいにち、コトとあそびます。
あるひ、コトがあしをひきずっていました。
ぼくはあそびたかったけど、コトはあそぶのをいやがりました。
ぼくは、コトをびょういんにつれていきました。
びょういんのせんせいは、いいました。
「ここは、にんげんのびょういん、どうぶつのびょういんにいかないとね。いっしょにいってあげよう」
びょういんのせんせいは、ぼくとコトをくるまにのせて、しゅっぱつしました。
「ひだりおっけー、みぎおっけー、はっしゃおーらい!」
くるまはまずそらをとびはじめました。
ブーーン、ひこうきよりはやいぞお。
せんせいはいいました。
「ぼくのしりあいのどうぶつのせんせいは、にほんのうらがわにいる。10ぷんくらいかかるよ。コトをだっこしてあげてなさい」
くるまがうみにさしかかると、こんどはうみのなかにもぐります。
ふかく、ふかく。
「わーい、くじらがいる。わーい、おおきいイカだー」
にほんかいこうというふかいふかいところのそこまで着くと、こんどは、うみのそこのさらにふかくにもぐっていきます。
せんせいは、いいました。
「これがねえ、さいしんしきのドリルなんだよ。さんすうのほんのことじゃないよ」
コトが言いました。
「おやじぎゃくとは、わらっちまうぜ、せんせい。それよりあしがいたいんだ、はやくしておくれ」
ぼくはびっくり。
「コトしゃべれるの?」
「しゃべれるわけないだろう、ワンっ。あしがいたいんだ。ワンっ。びょういんにつれていってくれてありがとうダワン」
そのときでした。あかいほのおのなかをすすんでいたくるまは、ちきゅうのまんなかにつきました。
せんせいはいいました。
「ほら、にほんのうらがわにとうちゃくさ
どうぶつのせんせい、いらっしゃるかね?きみたち、くるまからでたまえ」
「あら、おいしゃさん、おひさしぶり。にんげんのぼうやにワンちゃんも、こんにちは、わたしがちきゅうよ」
「ちきゅうさん、あしがいたいんだ、なんとかなおしてくれるかい?」
ちきゅうさんは、きれいなおんなのひとでした。
「ワンちゃん、わたしはなおせないけど、なおしかたをおしえるわ」
「たのむぜ、ちきゅうさん」
「おいしいごはんをたべて、たくさんねて、あそべるだけあそんで。
あなたのきずはとてもいたいけれど、あなたとしぜんのちからでなおるの」
ぼくはいいました。
「ちきゅうさん、なおしてあげてよ、いたいんだよ!」
ちきゅうさんはいいました。
「わたしはなおせないの。だれにもなおせないの。
でも、ワンちゃんが、まわりにたすけてもらいながらなおせるの」
ぼくはなきそうになりました。
「なおるきずならいいぜ、ちきゅうさん、ありがとよ。ボクちゃん、きにすんなよ。なおるんだ、それいじょうない」
コトがしっぽをふりながらいいました。
せんせいがいいました。
「ところでちきゅうさんもちょうしがわるいようじゃが」
「さすがね、せんせい。わたしのちょうし、みてくださるかしら?」
「もとどおりにすることはできないけど、わしなりのなおしかたでいいなら、すこしはなおせるぞい」
「あら、にんげんのせんせいらしいおことば」
そのとき、まわりのけしきがかわりました。
あれ、ここはひかりとやみのなかだ???
「ちきゅうよ。おれがなおしてやろうか?」
どこかからこえがきこえます。
「あら、おえらいさまね」
「おひさしぶりじゃ、おえらいさま」
コトがしっぽをまるめてふるえています。
「おれならちきゅうをじかんをかけてもとどおりにすることも、けすことだってできる。おえらいさまだからね」
「あら、わたしはどちらでもいいわよ。どちらでもきにしないわ」
「わしはうちゅうにいくから、わしもどちらでもいいよ」
みんなで言いました。
「ボクちゃんとコトはどうするんだい?」
コトはぼくをみあげていいました。
「まかせたぜ」
ぼくはいいました。
「ぼくはみんなすきだから、いまのままでいいよ。いま、ここにいる、ぼくたちのまま。あとはながれていくから」
ぼくとコトは、いえのにわにいました。
ごはんのいいにおいがします。
「ワンッワンッ」
コトがほえています。
コトのあしにはほうたいがまかれていました。
そこには、きれいな青と灰色と白黒のはながかざられていました。
こんばんは。taroです。気軽に書き始めた絵本用の文章でしたが、えらいながく、おおきなはなしになりました。こどもははたしてわかるのでしょうか。
おっと、絵本用のひらがながまだまじってしまっています。
まだ混じってる!?
良ければ感想なども書き込んでくださればうれしいです。
それでは、また二日後に。